2012年7月9日月曜日

「ここに帰る」のつくり


「ここに帰る」のつくり(誌面のスタイル)は、私が編集を引き受けた15号以来ずっと同じ形でやって来たけれど、比較的最近になって期せずしてお二人の方から、「文字がもう少し大きい方が読みやすい」というお声をいただいた。
そこで、文字を大きくした新たなスタイルにモデルチェンジすることを決め、時間をかけて試作ページをいくつも作成。その中から最良と思われるものを採用して新誌面スタイルとし、これで32号を編集、発行したわけです。

ところが改めて見直してみると、今一しっくり来ない。
実は試作品の中から最終選考した段階で既に、どこそこ引っかかるものはあった。
「読みやすくなった」と思ってくれればいいけれど、会員のみなさんは一体どんなふうに感じられたのだろう。
そこで会員の一部の方ではあるけれど「和田重正に学ぶ会ML」にアンケートのお願いを発信した。

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32号がお手許に届いたことと思います。ご覧になってお気づきのことと思いますが、より読みやすいようにと思って文字の大きさを変更しました。
そこで会員のみなさんにお尋ねします。先ず開いてみた最初の印象をありのままにお伝えいただけると大変ありがたいです。
というのは、よかれと思って変更したのですが、わたし自身はどうもしっくり来ないのです。
「もしかしたらかえって読みづらくなったのでは」と思って……
ご感想をいただきたく、よろしくお願いいたします。
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数日を待たずして何人もの方から返信をいただく。その結果は
好評、不評が相半ばとなった。最終的には奇しくも両者ピッタシ同数。

「好評」の内容はほぼ共通して
・文字が大きくなって読みやすくなりました

「不評」の内容は
・文字のことですが、小生も実は前の方がよいように思いました
・視力の弱い私には読みやすいです。
読みやすくはなりましたが、何か無くなったものがあります。それは何なのか?
此とはっきり言える訳ではありませんが、強いて言えば平澤様が作り出され到達され
誌面にあった独特の品位、美しさ のような気がいたします
等々。

多くの方がアンケートに応じてくださって大変ありがたかった。
そしてその結果からも、32号の誌面のスタイルはわたしが狙いとしたところには届いていない、ということが改めて分かった。
その原因の主なところを考えてみると、
1 文字が大きくなった分、行間が狭くなった(行数は減らしてない)
2 三段組一行の文字数が少なくなり、視線が次々と行を移動しなければならないため、目が忙しい
3 全体としてページに締まりがなくなり、ゆとりが感じられなくなった
などが考えられる。

誌面のスタイルを新たに作り直さなくては、と意を決し、33号に間に合うよう試作に入った。
しかしこれと思われるものができないまま時間が過ぎていく。
………これが「一太郎」というソフトの限界なのか………

5月19日、20日に行われる『和田重正に学ぶ会の来し方これからを語り合うつどい』には、出版社・地湧社の増田圭一郎さんからも参加したいとの申し込み。これはチャンス ! !、支援を仰ごうと下心を抱いて準備に入る。
増田さんは『湧』という小さな雑誌も編集・発行するプロ。若いのに、といっては失礼だけれど『湧』の編集のセンスのよさには常々敬服していた。

つどいでは、2日間を通して空いた時間を使いさまざまな情報や助言をいただく。
つどいが終わって家へ帰ってからも、電話やメールで支援を受け、それをもとに試作を進めた。


――中 略――
そして遂に完成した新たな誌面スタイル。
細部の微調整は残っているものの全体の形は決定。
その主な内容は
文字サイズ    11.4p
縦書3段組 は変わらず
・3段組の段内1行  15字
・1頁幅には前と同じ 19行
・3段組の1頁文字数 855字
(15字×19行×3段)

この誌面スタイルになって
A 32号とほとんど変わらない文字サイズ(ほんの少し小さい)なのに31号までより
  1行文字数が増え、ページ全体では31号までより文字数が7%増加
B 行間がクッキリとして、見易さが31号以前の感じに戻った(わたしの感じたところ)

増田さんにはただひたすら感謝感謝。
長年愛用してきた「一太郎」なのに、自分がまだまだ使い切れていないことも分かった。
“これが「一太郎」というソフトの限界なのか”、などとは己を棚に上げた失礼千万な話だった。

というわけで、33号の編集はその“新スタイル”で、ただ今鋭意進行中、乞うご期待です。
33号が届きましたら、読まれてのご感想をまたお寄せいただけると嬉しいです。
(わたしの手前味噌な誘導には囚われないで)

平澤 正義

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